一つ大人へ-中学3年生修了式
中学3年生修了式
本日3月19日(金)は3学期終業式。コロナ禍で生徒たちにとっては大変な1年間が終了しました。終業式は引き続き、放送で行われ、同時に校長表彰対象生徒と外部団体からの表彰対象生徒の発表が行われました。校長表彰には、学業優秀賞・文化スポーツ優秀賞があり、各学年から担任団の推薦で決まります。
終業式後、中学3年生は、6年間の前半の3年間、義務教育である中学の課程が修了したことを受けて、修了式を行いました。保護者の方にも参列いただき、3年間で立派に成長した中学3年生が入場。一人ひとり証書を校長が手渡しました。また、外部団体から表彰を受けた生徒、校長表彰の対象となった生徒、皆勤賞の生徒が登壇し、表彰されました。
コロナ禍の中ではありますが、保護者の方にも感染予防対策にご協力いただきながら参列いただき、短いながらも意義深い修了式を行うことができました。
以下、本日の校長の式辞です。
卒業生の皆さん、卒業、おめでとう。
振り返ってみますと、昨年の1月頃から急速に新型コロナウイルの影響が強まり、日本中、世界中に感染が拡大し、経済や社会生活への大打撃となって、社会生活に大きな混乱をもたらすなど、未曾有(みぞう)の経験となりました。また、昨年の3月から、全国で休校措置が取られ、本校が授業を開始したのが昨年の6月であります。この間、卒業生の皆さんには、学習教材の郵送やオンライン授業など、これまでに経験をしたことがない方法での学習指導となり、その中でも、中学3学年の先生や担当している教科の先生方は、皆さんの学びの保障と、学力を低下をさせまいと、懸命に遅くまで取り組んでいたことが思い出されます。
皆さんは、こうした新たな学び方や学習の中で、不安を抱えながら、新中学3年生を迎え、幾多の困難を乗り越えて、本日の卒業式を迎えることができました。
さて、本日は、皆さんにお話をできる最後の機会ですので、卒業に当たり、皆さんにお話をしておきたいと思います。
先日、新聞を読んでおりましたら、ふと、元気や勇気づけてくれる記事がありましたので、そのことを紹介したいと思います。
東京パラリンピック代表を目指して頑張っている中学2年生の山田美幸さんと成人の中村智太郎さんのことです。中学2年生の山田美幸さんは、体が大変不自由で日常生活での動作や歩行が極めて困難な方です。その山田選手は、東京パラリンピックの代表選考を兼ねるパラ競泳の日本選手権において、女子50mの背泳ぎで日本新記録を樹立し、世界選手権優勝タイムまで後1秒のところまでタイムを縮めました。しかも、前回の昨年の11月に行われた秋季記録会の時よりも5、6秒タイムを縮めています。さらには、女子50m自由形でも日本新記録を塗り替えまています。
この成長が著しい中学2年生の山田選手を支えている原動力とは何なんだろうか。果てしない努力はどこから生まれて来るのだろうか。そして山田選手は、これからどこまで記録を伸ばそうとしているのかと。応援と期待をしながら、真剣に取り組む山田選手の姿に感銘を受けました。山田選手は、好タイムを出した後のインタビューで、「気持ちよく泳げてとてもうれしいです。パラリンピックではメダルを取りたいけど、その前に自分自身との戦いで、自己ベストを沢山出せるように頑張りたい」と決意を語っています。このインタビューでの「その前に自分との戦いで」の言葉にに、何か強く惹かれ、中学2年生とは思えない山田選手から強い信念、揺るぎない信念を感じることができます。
中学2年生という、この若さで、「その前に自分との戦いで」と言い切る山田選手の姿に、何か勇気や感動を感じ、私達も負けてはならないという強い思いが湧いてきます。
また、2004年のアテネ大会から四大会連続でパラリンピックに出場している中村 智太郎さんは、両腕が機能しないことによる肢体不自由な選手ですが、彼もまた、懸命に努力をし、男子100m平泳ぎで日本新記録を出した選手です。昨年の11月の記録会では、思うように記録が出ない結果になったことが中村選手に火をつけ、今日の中村選手につながっていると、振り返っています。
中村選手は、思うような記録が出ないことから、「原点に帰って、練習で泳ぐ距離を増やし、学生の頃のように沢山練習をして、納得がいくまでやった。」と語っています。また、「自分は生まれつき腕がないので、泳いでいると足が上がったり、沈んだりする。だから上半身を鍛えた。それが、今年の好調につながっていて、練習はうそをつかないというのは、確かだ」とも語っています。沢山練習をして、納得がいくまで練習に打ち込むことにより、自信が生まれてきたとのことです。
当たり前のことに感じる言葉ですが、自然とこの言葉が出て来るところに中村選手の偉大さがあるように思えます。「納得がいくまで練習に打ち込む」、この忍耐強さや常に努力している姿を想像することで、今、私たちは何をすべきか、毎日、どのように生活をすべきかを教えてくれています。
今後とも、両選手の活躍を期待したいものです。
中学2年生の中村選手の言葉「その前に自分との闘いである。」
中村選手の言葉「納得いくまで練習に打ち込む、練習はうそをつかない。」
この言葉は、コロナ禍においても、私たちが、もっと努力すべきことを示すとともに、私たちのこれまでの努力は真の努力であったのかと自問自答させるものです。
本日、卒業して、これから新たな高校生活で活躍する卒業生の皆さんの心構えともなります。今後の進むべき方向性に向けて、しっかりと目標を定めて真剣な努力で取り組んでください。
この両選手の姿につながる詩があります。皆さんは、必ず聞いたことがあるはずです。紹介します。
心を磨き、身を練りて 不屈の意志と健康を 我が精進の糧とする 若き前途に試練あれ
どうでしょうか。何の詩か分かりますか。本校の校歌の二番目の歌詞です。
今後とも両選手が自分自身に言い続けている言葉
「その前に自分との闘い」
「納得するまで練習に打ち込む、練習はうそをつかいない。」
という言葉を胸に刻み、真剣に学ぶことに心がけ、新しい高校生活では、部活動や学校行事等にも積極的に取り組み、社会貢献もできるよう「正しい道」を歩み続けてください。
それでは、卒業生の皆さん、皆さんが健やかで幸多きことを心から祈念して、式辞といたします。
令和3年3月19日
高校3年からの講話
修了式終了後、父母の会から記念品の贈呈があり、また生徒から担任への花束贈呈が行われました。
中3生はそれに引き続いて、3月6日(土)に卒業式を終えたばかりの高校3年生で、今春東北大学・工学部に現役合格した先輩と、埼玉大学・教育学部に現役合格した先輩から、高校生活の送り方や、学習の方法などについて、リアリティをもった話を聞きました。
埼玉大学に進学する先輩からは、「合格のための必勝法」として「今日から毎日コツコツと学習すること」が語られました。「途中で途切れてしまうと、元に戻すのが大変。だからこそ、毎日コツコツ学習することが大切」という話がありました。
東北大学に進学する先輩からは、生活面では「楽しむこと」が大切で、遊ぶことも大切だという話がありました。学習面では、「高校に入ったら、早い段階から学習習慣をしっかり身につけること」の大切さが語られました。学習習慣がない状態で、受験体制に入るのはとても難しいということです。また、「問題の解き方はいろいろあって、テクニックを身につけて解く方法もあるだろうが、自分の受験した大学は、基礎をしっかり身につけて、そこから応用力を身につける方法でないと無理だったので、とにかく基本をしっかり身につけた」ということも語られました。
どちらも、実体験からの話だったので、中3生は真剣に聞き入り、質問も出ました。
4月からの高校生活に向けて、中3生は一つ大人になったと思います。